そもそもどうして「かゆみ」はつらいのか?
Pflugers Arch。2013年12月 465(12)
New insights into the mechanisms of itch: are pain and itch controlled by distinct mechanisms?(海外論文サイトへ飛びます)
日本語題:かゆみの新しい考察:痛みとかゆみは別のメカニズムでコントロールされている?
「かゆみ」がどうしてつらいのか?
論文をたくさん読んでいるうちに当たり前になって
説明を書いていませんでした。
Itch (pruritus) was first defined by a German physician Samuel Hafenreffer as “an unpleasant sensation that elicits the desire or reflex to scratch”
和訳と要約
「かゆみはドイツの医師Samuel Hafenrefferによって引っかきたくなる感覚や反射を引き起こす不快な感覚と定義された」
熱いとか痛いというのは、触りたくないために離そうとする。
でも「かゆみ」は引っかきたくなる感覚を引き起こす。
そこを傷つけようとするわけです。
それを防御反応として。
引っかいたら、傷ついてしまうからダメと思う。
体の防御反応に抵抗するためつらいのです。
精神的にまいってしまう理由です。
これで終わりではなんとも言えないので。
どんな物質が「かゆみ」を引き起こすのかを調べました。
J Pharmacol Exp Ther。2009 Jun; 329
日本語題:マウスによるプロテアーゼ活性受容体とその他のメカニズムによって誘発された脊髄後角における引っ掻き行動
この実験では多くの物質を皮内注射して試しました。
その結果がこれです。
These results indicate that PAR-2 and PAR-4 agonists, histamine, and 5-HT elicit itch-related scratching and activate superficial dorsal horn neurons that may participate in scratch reflex and ascending itch signaling pathways.
和訳と要約
「 PAR-2 と PAR-4 agonists, histamine, and 5-HTがかゆみとかゆみ反射を誘発する表側後角のニューロンが活性化したことを示す。」
ここは物質もそうですが、大事なのは反応した場所です。
皮膚が炎症を起こしたではなくて。
脊髄後角が反応している。
ここがポイントです。
「かゆみ」は肌ではなく神経が反応している。
脊髄は脳とおなじ中枢神経系。
そこが反応しているということは
脳が取れと命令しているのに、引っかいたらダメという指令も出す。
アクセルとブレーキを同時にかけている。
だから「かゆみ」はつらいのです。
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