アトピーは食の欧米化で悪化したのなら、欧米の方がアトピーは多い?

アトピーは食の欧米化で悪化したのなら、欧米の方がアトピーは多い?


ネットで「食の欧米化によってアトピーが増えた」というような記事を目にします。

合う合わないはあるとは思いますが。

食の欧米化は定義はなく。

「肉と小麦が増えて野菜と魚が減ったこと」

ということだと思います。


まずは、アメリカと日本の成人のアトピー罹患率を比較します。

Our large population-based study found the prevalence of AD in the United States to be approximately 10.7% with a significant variation between states and districts.(1)

和訳と要約

「アメリカ合衆国全体では、アトピー性皮膚炎は10.7%の罹患率がある。ただ、州や群で開きがある。」

ちなみに、日本の厚労省が発表しているアレルギー疾患現状等(2)では、20代~30代のアトピー罹患率は9%ほどとなっています。


日本よりアメリカの方がアトピー性皮膚炎の患者数はわずかに多いですが。

ただ、アメリカの場合国土が広く地域差が大きい。

そのため8.7~18.1%の幅があったとも記載されています。


宮地良樹氏、アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患かによると

食物アレルギーは一部の重症度小児ADの増悪因子の介在にはなるももの。
食事制限の効果は生後1~2年程度で、普遍的に試みられる治療ではないと考えられる。(3)

食事の欧米化がアトピーの原因となる要因は2歳くらいまで。

大人になって意識し続けるほど影響があるとは思えないというところでしょうか。


欧米では昔から欧米食を食べていたので、体がそうなっている。

では、別の地域から移った場合はどうなのか?

The prevalence of atopic dermatitis according to examination by a dermatologist was 16.3% in black Caribbean children and 8.7% in white children. 

和訳と要約

「皮膚科医による検査によると、アトピー性皮膚炎の有病率は、カリブ海の黒人の子供が16.3%、白人の子供が8.7%であった。」

これはロンドンに住んでいる子どもたちを調査したものです。

現地に住んでいる人と別の地域から来た子どもではアトピーの有病率が異なる。

環境が変わると、発症率が上がるのは事実のようです。

食生活は不明です。


こんな韓国ではこんな論文もあります。

Consuming instant noodles, meat and processed foods was associated with increased prevalence of atopic dermatitis, whereas consuming rice and kimchi, and coffee was associated with decreased prevalence of atopic dermatitis.

和訳と要約

「インスタントラーメン、肉類および加工食品の摂取はアトピー性皮膚炎の罹患率の増加と関連しており、米およびキムチの摂取、およびコーヒーはアトピー性皮膚炎の罹患率の低下と関連していた。」


インスタントを食べる人とお米とキムチを食べる人を比較したら。

そりゃそうなるでしょ。

インスタント食品で済ませないといけないくらい時間に追われているかもしれない。

食生活だけの差ではない気がします。


食の欧米化がアトピーを増やしている。

その根拠となるものは今のところ見つかっていないです。

逆に、否定するものも今のところ見つかっていない。


なので、自分がどういう時に悪化してどういう時に調子がいいのか。

大事なのはここだと思います。

野菜中心の生活だと調子がいい人はそれがいいし。

睡眠を十分に取ってると調子がいい人は夜更かししないとか。


これはアトピーだけではなく、誰にでも言えることですけどね。


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今回引用した論文

1、Eczema prevalence in the United States: Data from the 2003 National Survey of Children’s Health(海外論文サイトへ飛びます)

日本語題:米国における湿疹の有病率:2003年全国子ども健康調査からのデータ

著者:Tatyana E. Shaw,Gabriel P. Currie, Caroline W. Koudelka,Eric L. Simpson


2、アレルギー疾患の現状等

著者:厚労省 健康局


3、アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患か

著者:宮地良樹


4、London-born black Caribbean children are at increased risk of atopic dermatitis.

日本語題:ロンドン生まれのカリブ海出身の黒人の子供はアトピー性皮膚炎のリスクが高い。

Williams HC1, Pembroke AC, Forsdyke H, Boodoo G, Hay RJ, Burney PG.


5、Instant noodles, processed food intake, and dietary pattern are associated with atopic dermatitis in an adult population (KNHANES 2009-2011).

日本語題:即席めん、加工食品の摂取、および食事のパターンは、成人人口のアトピー性皮膚炎に関連しています。

著者:Park S, Choi HS, Bae JH.

「かゆみ」コラム 〜愛知県春日井市 みやこ内科クリニック〜

愛知県で体の中からかゆみ治療をしているみやこ内科クリニックです。体がかゆい、薬を塗ってもかゆい、かゆくて寝られないなど、かゆみの相談を毎日受けています。「かゆみ」の相談をする場所が少ないこともあり、他県からも来院されます。かゆみはつらい症状の一つで治療ができるのだということが世の中に広まればと思い、このコラムを書くことにしました。