睡眠不足はお肌と作業でトラブルを起こす

睡眠不足はお肌と作業でトラブルを起こす

やたらと睡眠を取り上げますが。

肌トラブルを調べると、ほぼたどり着くのが。

「睡眠」なのです。


Disorders of sleep interrelate with a variety of disease states, with emerging data now underscoring the importance of sleep disorders and disturbances of sleep as it relates to dermatologic conditions. 
Various mechanisms have been postulated linking sleep disturbances and eczema, including increases in markers of systemic inflammatory cytokines and T-cell activation

和訳と要約

「睡眠障害は様々な病気を引き起こす、睡眠の重要性と睡眠不足が皮膚疾患に関連しているデータが浮き彫りになった。

サイトカインの増加やT細胞の活性化など睡眠不足と湿疹の関連性が示されてきた。」


睡眠が不足するとサイトカインやT細胞が活発になると。

炎症が起きます。かゆみは皮膚が炎症を起こしている状態なんですよ。

睡眠不足からかゆみを起こすよという説明です。

かゆみがあるから睡眠不足になることもあります。

睡眠時間の推移を厚労省の健康白書から抜粋

1975年では8時間あった睡眠が、2011年には7時間30分ほどに下がっています。

これは平均なので、睡眠時間のばらつきを見てみましょう。

厚生労働省の資料で調べてみました。

5時間以上7時間未満という方が6割以上を占めていますね。

では、アトピー性皮膚炎の増加について調べてみます。

1987年からおよそ倍ですね。

睡眠時間の減少とアトピー性皮膚炎の増加が反比例しています。

これが因果関係なのかというとそうとも言い切れないです。

排気ガスや食生活など、原因は多岐にわたりますが。

ただ、睡眠が足りないことで炎症が起こるのでないとも言い切れないです。


Sleep deprivation is associated with cognitive impairment as well as with daytime sleepiness and a negative impact on cognitive performance. Furthermore, it affects productivity negatively increasing the risk of occupational errors and auto accidents. In fact, even one night of deprived sleep can impair performance equal to blood alcohol content of 0.10 percent; i.e., above the legal limit to drive.

和訳と要約

「睡眠不足は仕事のミスや自動車事故のリスクを高めます。一晩の睡眠不足で血中アルコール度数0.10%と同じくらいのパフォーマンスが低下します。それは運転の法的制限を越えています。」


日本の酒気帯び運転は「呼気1リットル中、0.15㎎のアルコール」です。

血中アルコール度数0.10%と呼気0.15㎎だとどっちが?って思いますよね。


アルコール医学健康協会によると

ビール中瓶1本、日本酒一合飲んだ場合

血中アルコールは0.02~0.04%

呼気だと0.1~0.2㎎

0.10%であれば、酒気帯び運転よりも認知力が低下している状態です。

その状態で仕事をしていたら、ミスしますよね。

ミスしたら、ストレスが溜まります。

ストレスを感じるとかゆみは強くなり寝れなくなる。

では、どの程度の睡眠だとミスしないのか?

睡眠負債の研究では8時間睡眠をとるとミスが少なかったと書いてありました。


睡眠不足が皮膚に及ぼす影響

今度は見た目に及ぼす影響です。

Poor sleep quality as ascertained by Pittsburgh sleep quality index >5 and sleep duration of ≤5 h was shown to be associated with increased signs of intrinsic aging and decreased skin barrier function when measured by transepidermal water loss

和訳と要約

「不十分な睡眠は皮膚の水分低下を引き起こし内因性の老化現象と皮膚のバリア機能を低下させる。」

肌水分量が失われると、肌の弾力が失われ。

バリア機能が低下するので花粉などの刺激物質に弱くなる。

老化現象も起こして見た目の自信も失うことに。

さらに、スナックや甘いものを欲するようになり肥満化するということも書いてあります。

いいことがなさ過ぎ!!


かゆみ予防としての睡眠

・寝不足になるとかゆみ物質が出る

・寝不足でミスをするとストレスになる

・見た目が劣化する


寝ない自慢がとても強かった日本。

よくないことがわかってきました。

なので、かゆみ治療をして寝れるようになったら。

とにかく十分な睡眠を確保するようにしましょう。


私も10時には寝ています。そして診療が終わると少し寝ています。

ちなみに私の弟でもある事務長は、睡眠が足りないと性格が極悪になります。

とにかく心の余裕がなくなると言っていました。


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今回引用した論文

Overview of Common Sleep Disorders and Intersection with Dermatologic Conditions(海外論文サイトへ飛びます)

日本語題:一般的な睡眠障害の概要と皮膚症状の関係

著者:Harneet K. Walia, Reena Mehra


「かゆみ」コラム 〜愛知県春日井市 みやこ内科クリニック〜

愛知県で体の中からかゆみ治療をしているみやこ内科クリニックです。体がかゆい、薬を塗ってもかゆい、かゆくて寝られないなど、かゆみの相談を毎日受けています。「かゆみ」の相談をする場所が少ないこともあり、他県からも来院されます。かゆみはつらい症状の一つで治療ができるのだということが世の中に広まればと思い、このコラムを書くことにしました。