夜になると皮膚が乾燥して炎症が起こりやすくなる。でも吸収も良くなる

夜になると皮膚が乾燥して炎症が起こりやすくなる。でも吸収も良くなる?

かゆみが強くなるのは夜。

理由はお風呂に入るとか疲れなどなど人によります。

その中で、サーカディアンリズム。

日本語で概日リズムと言われる体の変化に注目しました。


Trans-epidermal water loss (TEWL), a measure of skin barrier integrity, is increased at night. Impairment of barrier function may contribute to itch by facilitating the entry of pruritogens. In patients with AD, increased TEWL has been associated with increased itch intensity .

和訳と要約

「皮膚バリアの状態の指標である表皮水分損失は、夜間に増加する。バリア機能の障害がかゆみを引き起こす可能性があります。 AD患者では、水分損失の増大でかゆみが強くなった。」


夜間に皮膚の水分損失が増えて肌の防御機能が低下。

防御機能の低下で外部刺激に弱くなり「かゆみ」を起こす。

寝ると発汗が多くなるのですが、皮膚の水分量は下がるのですね。


Corticosteroids are necessary for mounting an anti-inflammatory reaction and have peak and trough levels commensurate to the time of day. Corticosteroid levels are at a nadir in the evening and night, which leads to a decreased anti-inflammatory response and may facilitate exacerbation of nocturnal pruritus. This corticosteroid level variation has also been associated with nocturnal asthma exacerbation.(1)

和訳と要約

「コルチコステロイドは、抗炎症反応を起こすために必要であり、時間帯によって変化します。コルチコステロイドは、夜間に最低値になり、抗炎症の低下させて、夜間の掻痒症の悪化を促す。このコルチコステロイドレベルの変動はまた、夜間の喘息悪化と関連している。」


コルチコステロイドというのは、視床下部→下垂体→副腎皮質から分泌されるホルモンです。

これが夜間に下がるので外部からの刺激に敏感になる。

炎症反応は外部からの攻撃に対する防御反応なのです。

コルチコステロイドが下がった分、他の反応で外敵に対応しようとする。

それがかゆみと喘息という形で出ているという内容です。


These results suggest that skin permeability is higher in the evening and night than in the morning. These data may be clinically relevant in several aspects applied to skin physiology and topical drug application.(1)

和訳と要約

「これらの結果は、皮膚浸透性が夕方と夜の方が午前より高いことを示唆している。これらのデータは、皮膚生理学および局所薬物適用に適用されるいくつかの局面において臨床的に関連し得る。」(2)

夜は皮膚の浸透性が高い。吸収も高いということです。

夜のケアの大事さがわかる2本の論文でした。


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今回引用した論文

(1)Nocturnal Pruritus: The Battle for a Peaceful Night’s Sleep(海外論文サイトへ飛びます)

日本語題:夜間のかゆみ 平和に寝るためのための戦い

著者:Michael Joseph Lavery, Carolyn Stull,Michael Owen Kinney, Gil Yosipovitch

(2)Time-dependent variations of the skin barrier function in humans: transepidermal water loss, stratum corneum hydration, skin surface pH, and skin temperature.(海外論文サイトへ飛びます)

日本語題:ヒトにおける皮膚バリア機能の経時的変化 経表皮水分損失、角質層水和、皮膚表面pHおよび皮膚温度。

著者:Yosipovitch G, Xiong GL, Haus E, Sackett-Lundeen L, Ashkenazi I, Maibach HI.

「かゆみ」コラム 〜愛知県春日井市 みやこ内科クリニック〜

愛知県で体の中からかゆみ治療をしているみやこ内科クリニックです。体がかゆい、薬を塗ってもかゆい、かゆくて寝られないなど、かゆみの相談を毎日受けています。「かゆみ」の相談をする場所が少ないこともあり、他県からも来院されます。かゆみはつらい症状の一つで治療ができるのだということが世の中に広まればと思い、このコラムを書くことにしました。