いい共感で「かゆみ」を抑えることができるのか?

いい共感で「かゆみ」を抑えることができるのか?

Cortex. 2015 Sep;70:79-89

Distinct neural networks underlying empathy for pleasant and unpleasant touch.(海外論文サイトへ飛びます)

日本語題:「不快な共感ネットワークの根底にあるもの」


「かゆみ」を調べて行くと「炎症」が原因ということがわかります。

原因はわかっていても、悪化する要因として。

調べれば調べるほど。

「心の問題」が浮かび上がってきます。

「人がかゆがっているとかゆくなる」

ある状況を見ると「かゆみ」が出る。

これは負の共感。

では、いい共感は難しいのかなと思い調べてみました。


In spite of considerable progress in the understanding of the neural mechanisms underlying the experience of empathy, the majority of previous investigations have focused on how we share negative affective states (and in particular pain) of others, whereas only few studies have targeted empathy for positive emotions. 

和訳と要約

「経験した感情のメカニズムは理解が進んでいるがネガティブな感情の共感にフォーカスしているものがほとんどで、ポジティブな感情の共感にフォーカスしている研究はほとんどない。」


共感の研究は進んでいるけど。

ポジティブな感情の研究はあまりされていない。

ポジティブな研究が進まないのは。

幸せなら悩んでいないから研究するなら不快な方ってことだと思います。

私自身も研究するなら不快を取り除くことをテーマにしてしまいます。

ジムチョーは、人が幸せなのを見たら余計不快だと言っていました。

それもあるとは思います、ねたみの感情ですね。

幸せの共感って難しいと思っているとこのような記載がありました。


This revealed that empathy is subserved by distinct neural networks, with those regions recruited in the first-hand experience of positive or negative affective states also being specifically recruited when empathizing with these respective states in others.

和訳と要約

「共感は異なる神経ネットワークで支えられていることを明らかにした、直接触れるポジティブな感情とネガティブな感情は異なる領域で反応し他者からの共感は特に異なる領域で反応している。」

このレポートを読むまでは、脳の同じ領域で共感って行われていると思っていました。

記憶しているから、それを想像して不快になると。

脳の異なる領域で反応している。

負の共感、例えば「かゆがっている人を見たらかゆくなる」

では、「かゆみを治まるような共感」もできたら。

この研究が進むと、かいてしまうお子さんに対してそのような映像を見せる。

こんな治療法も開発されるかな。

そんなことを感じました。

薬だけではなく、かゆみ治療の幅が広がるな。

そんな可能性を感じるレポートでした。


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「かゆみ」コラム 〜愛知県春日井市 みやこ内科クリニック〜

愛知県で体の中からかゆみ治療をしているみやこ内科クリニックです。体がかゆい、薬を塗ってもかゆい、かゆくて寝られないなど、かゆみの相談を毎日受けています。「かゆみ」の相談をする場所が少ないこともあり、他県からも来院されます。かゆみはつらい症状の一つで治療ができるのだということが世の中に広まればと思い、このコラムを書くことにしました。