「かゆみ」は見るとかきたくなり、見ると治まる不思議な感覚

Br J Dermatol. 2011 Jun; 164(6)

Contagious Itch in Humans. A Study of Visual “Transmission” of Itch in Atopic Dermatitis and Healthy Subjects（海外論文サイトへ飛びます）

日本語題：人のかゆみの伝達性。アトピー性皮膚炎と健康な被験者のかゆみの視覚伝達の研究

「かゆみ」の論文を読むと「かゆくて地獄だ」と編集している事務長が嘆いたので。

本当かなと探したのがこの論文です。

Participants received histamine or a saline control delivered to the forearm and were asked to watch short video clips of people scratching. Spontaneous scratching induced by visual cues was monitored and analyzed. 

和訳と要約

「被験者はヒスタミンか生理食塩水を前腕部に送りそして人がかいている短い映像を見てもらった。視覚的なきっかけにかゆみを誘発されたかをモニタリングと分析をした。」

かゆみ物質である「ヒスタミン」を前腕部に注入、生理食塩水はプラセボというものですね。

ヒスタミンで反応しているのかを見るためには、ヒスタミン以外も注入する必要がある。

ヒスタミンを注入した時の方がかゆがったとデータとして出ています。

人がかいている映像を見せたらどうなったのか？

The ratio of scratching in extended / local sites increased 3.8 times in atopics when the video was switched from neutral to itch video (respectively). Importantly, the skin areas targeted for scratching by atopics were not eczematous.

和訳と要約

「アトピー性皮膚炎の方はかゆみ動画と普通の動画では3.8倍かゆがった。重要なこととして、かゆがったその部分に湿疹はなかった。」

かゆみの動画を見たら3.8倍かゆくなった。

それだけではなく、かいている部分に湿疹はない。

かゆみは脊髄反射で起こるパターンと記憶で起こることがある。

「かゆみ」は見ると、かゆみを思い出しかゆくなることがわかる。

では、リラックスする映像を見せたらどうなるか？

Behavioural and Cognitive Psychotherapy

THE EFFECTS OF RELAXATION WITH AND WITHOUT IMAGERY IN REDUCING ANXIETY AND ITCHY SKIN IN PATIENTS WITH ECZEMA（海外論文サイトへ飛びます）

日本語題：肌のかゆみを軽減するために映像を使った時と使わなかった時の効果

The current study compared the efficacy of a single relaxation session with an imagery component with that of a comparable relaxation session without the imagery component.
These results suggest that relaxation with an imagery component may be more effective than relaxation without an imagery component in lowering state anxiety levels and itchy sensations of atopic eczema patients.

和訳と要約

「今回の研究では、映像ありと映像なしの同じリラックス効果のあるセッションを行った。

結果は画像がある場合の方がアトピー患者の不安定さかゆみを低減することができた。」

「かゆみ」は映像で増幅するけど、リラックスするのも映像があったほうがいい。

「視覚」と「かゆみ」というより、「かゆくなった時の記憶」

「かゆみ物質」よりもかゆみを起こす力は強いのかもしれない。

「かゆみ」を起こさない視覚的な環境作り。

これも重要なポイントなのでは？

そんなことがわかったレポートです。

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